こんにちは、妻のブウです。
冬になってから、ドライブ中に見かけるキャンピングカーはたいてい、道内ナンバーです。
やはり、本州から「冬の北海道くるま旅」はハードルが高いのかもしれません。
・・・しかし2月になると、またチラホラ増えてきました!
この時期、キャンピングカー旅のみなさんに人気なのは、「流氷観光」ではないでしょうか。
今日は、満を持して!
「オホーツク海が目の前」という地区に以前住んでいた私が、「流氷観光に失敗しないために、絶対知っておきたい基礎知識」を、書きます。
実は、在住してた数年間、お客様にご説明する立場で、お仕事をさせていただいたこともあります。
流氷ウォッチ回数は、地域でもベスト50人には絶対入っていたと自負しています。
(50って微妙ですが💦オホーツクも広いですから、遠慮気味に書いてみました。)
流氷を専門に研究されている先生方のお話も、生でいろいろ伺いました。
この経験から、「流氷観光」って、キャンピングカーや、車中泊のくるま旅にこそ、ぴったりだと思うのですよね!
じっくり流氷を楽しむためにおすすめの、ガチ防寒対策もお伝えします。
流氷だけでなく、ジュエリーアイス、ダイヤモンドダストなど、冬の北海道でしか見られない風景を狙う方の参考にもなると思います。
Contents
とにかく流氷は「動く!」
現地に住むまで流氷を見に行ったことの無かった私にとって、何より驚いたのは「流氷ってこんなに動くのか!」ということです。
写真や、動画、ニュースで見る限りは、大きい白い氷が海を埋め尽くしていて、あまり、動くというイメージは無いですよね。
ものすごく速いスピードで流れていくわけではないので、じっと見ていても分からないのですが。
「昨日は見渡す限りの白い流氷原だったのに、翌日同じ場所に行ったらスッカリ青い海!」ということが、シーズン中何度も起こるのです。
これは、何度見ても驚きの体験なので、地元の発信者の方はSNSなどによく書かれているのですが、なかなかガイドブックなどには詳しく載らない情報です。
流氷は、来た!と思ったら次の日には去って行き、来ないなと思っているといきなり来たり。ガチガチに固まっていても、春の訪れと共にまるで何も無かったのように溶けていきます。#女心と流氷の海
— PopShiretoko360 (@Popshiretoko360) 2019年1月23日
ニュースでは、「流氷初日」(初めて流氷が見えた日)「接岸初日」(流氷が岸を埋め尽くす等した日)がまず報道され・・・
春になって最後に「流氷終日」(流氷が見えなくなった日)しか報道されないので。
流氷が接岸した以降は、ずーっと春まで、流氷が見えるんだろう!と、誤解されてしまうのも仕方ないのですが。
近年の流氷減少で、より動くように?
地元の方たちに言わせると、「昔」はもっとたくさん流氷が接岸した、そうなのです。
「昔は流氷が接岸すると、(斜里駅あたりから)ウトロまで、流氷の上を歩き、直線距離で荷物を運んだ」
という話が、地元ではまことしやかに語られています・・・。
その頃は、一度接岸すると、ずっと春まで接岸状態だったのに、近年は氷の量が少ないので、ちょっとした風で流され、岸から離れてしまうというのです。
まあ、確かに気象庁のデータなどを見ても、接岸面積や接岸期間(流氷期間)は減っているのですが・・・。
一度接岸してから、何度「離岸」したが。。。というのは、今の観測基準では記録に残らないので、本当に正確なことは言えないのだそうです。
これまた地元で聞いた話では、あるとき、観光で来ていた大学生が流氷に乗っていて、そのまま風に流され・・・
なんと、遭難。大救出劇となる騒ぎ!があってから、流氷に乗るのは禁止!という風潮が広がりました。
現在40代より若い地元の方たちは、「”冬休み・春休みのきまり”に、流氷に乗って遊ばない、ということが必ず書いてあった」と証言します。
ちなみに、1965年は5/12まで流氷が居座ったことがあるそうだ…GWで流氷観光なんて、今の気候では想像もつかないけれど…
小学校の冬休みの注意書きで「流氷に乗らないこと」って今もあるのかな— シリエトクノート編集室 (@siretoknote) 2016年1月16日
それより昔の子どもたちにとって流氷が接岸した海岸は、冬の遊び場だったそうなのですが。
・・・ちなみに、この風潮を逆手に取った「流氷ウォーク」という斜里町ウトロのアクティビティも、すごく人気ですよ。
インストラクターの方と一緒に、安全に流氷に乗って遊ぶことができます。
どこで流氷を見るか?問題
この「流氷は、思っているよりも、ものすごく動く!」という知識が、実は流氷観光を成功させるポイントなのです。
せっかくお休みを取って観光に行くのですから、かならず流氷を見て帰りたいですよね?
では、訪れる場所はどこがいいと思いますか?
ガイドブックに載っている、紋別?網走?
あれ、2か所は結構離れているのね・・・片方しか行けない、となったら?
その答えとなるのも、「流氷の動き」です。
下の地図を見てください。
流氷を動かす原動力は、「風」です。
この時期、もちろん色々と風向きは変わりますが、一番多いのは「北西の季節風」です。
流氷が少なめの時に、流氷が季節風に流されると・・・
流氷は、北東方向に伸びた「知床半島」方向に流され、半島に引っ掛かって、どんどんたまっていくのです。
このため、最近「流氷接岸初日」を真っ先に迎えるのは、網走や斜里が多く、紋別が先、ということはほとんどありません。
もっともっと大量に、オホーツク海を埋め尽くすように流氷がやってきたころは、より北に位置する紋別が、先に流氷初日になることが多かったのだそうです。
ついでに、地図上に、オレンジ色の線を書きました。
近年、「宗谷暖流」が強くなっている影響もあって、残念ながら紋別の海岸には、さらに流氷が近寄りにくくなった、という説もあるようです。
(この話は、まだ研究段階らしいです。)
まとめると・・・
もし紋別で見られなかったら、網走へ!
網走で見られなかったら、斜里へ!
最終手段はウトロ!
流氷ウォッチングのエキスパート、「流氷なび」さんも、このように言っています。
よく見ると左側(網走方面)の沖が、ぽっかり空いてます。右側(知床方面)へ行く程、沖の氷の密度が増してます。つまり網走で流氷を見られなくても知床まで行けば流氷を見られる事があるんです(←たまにはマジメな解説) pic.twitter.com/lbOKaCkw4U
— 流氷なび (@ryuhyonavi) 2019年2月1日
流氷の位置をチェック!三種の神器
紋別のほうが北にあるから、流氷見やすいのかなぁ?と漠然と思っている方もいるかと思いますが、実は、網走や、更に言うと斜里まで行った方が、見られる確率が高いと、住んでいても感じました。
もちろん、気圧配置によっては、風向きが逆になって、流氷が西に流されることもあります。
つまり、そうなんです。
「今どこに行ったら、確実に流氷が見られるか?を調べてから動く!」のが、流氷観光では大事なのです。
これは、まさにキャンピングカー旅の得意分野ですね!
(車中泊旅ももちろんおすすめですが、やはりかなり寒いので、極寒地での車中泊を練習してから行きましょう。)
では、どこで流氷が見られるのかを知るために、何を見たらいいか。
厳選した、3種類の流氷情報を伝授します。
特におすすめするものに、王冠マークをつけています♪
1)超基本!海氷情報
第一管区海上保安本部 海氷情報センター 海氷速報
雲で観測できない日以外は、毎日更新されます。
気象衛星の他、定点カメラや目視など、さまざまな情報を集約して描かれているので、一番信頼できます。
上記資料の基データになりますが、JAXAの衛星だと、雲に隠れている時も予想値が見られます。
2)twitterによる現場情報
流氷なび
網走周辺の観光協会が協力して運営。
・・・・が、近年は、ほとんど「知床斜里町観光協会」さんの独壇場です。
ほぼ毎日、斜里町で一番おすすめ鑑賞スポット「以久科原生花園」とウトロまでの国道から見える流氷、ウトロから見える流氷の写真が更新されます。
Tweets by ryuhyonavi
流氷なう
紋別市にある、北海道立流氷科学センターGIZAが運営。
「流氷なび」さんより、ツイートが控えめなのは、サボっているのではなく・・・
やはり、流氷が陸地から見えない日が多いことが多いことに起因しているのではないかと思われます。
3)流氷カメラ
北見工業大学 氷海環境研究室 流氷カメラ画像
年によって運営期間が異なり、2月にならないと始まらないことも多いですが、オホーツク海に面した色々な場所に流氷カメラを設置しています。
昼でも過去画像を選んで見られるのが嬉しいです。
(地図に表示されているのが、過去画像のまま、となっていることもあるのでご注意ください)
STVウトロライブカメラ(北こぶし知床 ホテル&リゾート)
地元放送局が運営しているので安定して見られます。
STV紋別ライブカメラ(紋別市役所)
同じ系列の放送局が管理。沖合の様子までは見えないかもしれません。
ガリンコ号か?おーろら号か?問題
流氷観光船は、紋別市の砕氷観光船「ガリンコ号」と、網走市の「おーろら号」が就航しています。
いずれも、結構なお値段がします!
どちらに乗るか?!迷うと思います・・・
名前だけ見ると、「砕氷観光船」である「ガリンコ号」のほうにひかれる方が多いかもしれません。
しかし、流氷の中を航行する期間は、より東の海域にある網走の「おーろら号」のほうが、実は長いのです!
(前述のとおり、網走のほうが早く流氷がやってきて、遅くまで残ることが多いため。)
すなわち流氷遭遇率は、おーろら号のほうが高いと想像します(公式な数値は見つけられませんでした)。
もちろん「ガリンコ号」も、流氷帯まで頑張って全速力で進んで、流氷の中を進むので、この時期見られないという心配は少ないと思います。
(全く流氷が見られない可能性が高い場合は、両者とも乗船前に教えてくれます。確か。)
また、ガリンコ号のほうが素敵な部分もあります。
朝日を眺められるツアーや、夕日の時間帯のツアーが特別に設定されています(日による)。
超レア!な「四角い太陽」が見られたこともあるそうですよ。
まとめると・・・船の予約は、可能なら、現地に行って流氷の多い海域をチェックしてから、がベストですね。
混んでいる時期は、予約が取れない可能性もありますけど。
流氷科学センターか?流氷館か?問題!
これまた、紋別と網走に、似たような名前の施設がありますね。
結論から言うと、これは「ぜひ両方行ってください!」
観覧料もお安いので。
紋別市にある「道立オホーツク流氷科学センター」は、その名の通り、道立の研究機関も兼ねた施設です。
流氷や、クリオネを研究している専門家の方もお勤めで、かなり広い展示施設があります。
これでもか!と驚く密度のクリオネを飼っていたり、氷点下の気温を体感する部屋も、めちゃくちゃ広いです。
一方、網走市の「オホーツク流氷館」。
こちらは、観光施設という側面が強いです。
多少、流氷のことを学べる展示もありますが、紋別に比べると少なめです。
ただ、近年(2015年)リニューアルしたので、非常に建物が綺麗ですし、お土産などは充実しています。
カフェの流氷ソーダや、展望階にあるレストランも本格的な味で、圧倒的な大パノラマもおすすめですよ。
インスタ映えを狙うなら
本州や、海外から来られる皆さんは、「白い氷が海一面に広がる」様子に、憧れがあるのはわかります。
しかし、北海道内など、雪国生まれの方に言わせると・・・
「毎日、真っ白な雪を見てうんざりしてるのに、わざわざ白い海を見に行ってどーするの!」
「氷の海なんて寒そう!外に出たくない!」
というご意見が多いです。というか、私もかつて、そのように思っていました💦
そもそも、普段のオホーツク海の様子を見ていないのに、いきなり真っ白な海、を見ても「本当に流氷なのかどうか疑わしい」という事態が起きてしまうんです(笑)。
ただ撮影しても「これ、雪原を撮ったの?」と言われかねません。
何しろ、近年流氷が減ってきているので、「氷山」のような「でっかい氷のかたまり」を撮影できることはまれです!
(良く本に載っているのは、カメラマンさんがそれらしいかたまりを一生懸命探して、下から”あおって”撮っているのです!)
流氷に近づける「流氷ビーチ」での撮影がおすすめ
流氷観光船の上などから、遠景で流氷が埋め尽くした海を撮ってしまうと、どうしてもただの真っ白な「雪原」のようになってしまいがち。
なので、できるだけ流氷に近づいて、氷らしい写真を撮るのがおすすめですが、どこに行ったらいいのか・・・?
ガイドブックにはあまり載っていないと思います。
実は、普通の観光客の方でも、無理をせず、安全に流氷に近づけるポイントが、わずかですがあります。
※少し前まで、網走にもいい場所があったのですが・・・民間の観光施設閉鎖のため、駐車場に立ち入れなくなったようです。
以下の二か所は、「流氷なび」さんが、ほぼ毎日流氷の接岸情報を発信しています。
いずれも駐車場があるので安心して見学できます。
ただ、市街地から離れており、ときどき除雪を忘れられていることが・・・(汗)
よく、スタックしている車もいるので、気を付けてください。
斜里町 以久科原生花園
夏は、ハマナスなど野生の花が見られます。
駐車場からすぐ海に出られ、広い海岸を散策できます。
斜里町 遠音別川(おんねべつがわ) 河口
秋には、サケ・マスの遡上を間近で見られるポイントです。
山側に駐車場があり、海岸に降りるには国道を横切らなければならないため、十分注意しましょう。
流氷ビーチマップ
時間は朝か夕方!
「ただの真っ白な写真」にならないための工夫をもう一つ。
朝焼け、もしくは夕焼けを狙ってみてください!
朝はつらい・・・という方、この時期、オホーツクは日が短いので、それほど早起きしなくても大丈夫です。
もちろん、夕方でも、幻想的な写真が、誰でも簡単に撮れます。
時期は、確実に見るなら2月。また行ける人なら3月がおすすめ。
正式に「流氷期間」の観測を現在行っているのは、網走の気象台だけなので、そのデータを見ると、各「平年日」は以下の通りです。
流氷初日:1/21
流氷接岸初日:2/2
流氷終日:4/11
流氷期間の平均:81日間
このデータを見ると、3月に行ってもいいのか!と思われるかもしれませんが・・・
実際、3月初めには、流氷がほとんど岸から離れてしまう年も多いです。
私が住んでいた数年間で、3月後半まで流氷が残っていた年は、半分あるかないか、でした。
つまり、確実に見るなら、2月ですね。
でも、本当は、3月や4月の流氷をおすすめしたいです!
気温が上がってきているので、寒さに凍えながら見なくても済むし。
海が開いてきて、青い海原と白い流氷のコントラストが美しいのですよ。
道内の方など、流氷観光にまたいつかチャレンジできる!という場合は、最初から3月を計画してもいいかもしれません。
流氷期間 気象庁公式データ
プロ直伝の防寒対策は「本気ブーツ」
流氷の撮影もそうですが、流氷観光船に乗っている間など、正直、かなり寒いです。
北海道民だから・・・と油断してはいけません!
冬のオホーツク海沿岸は、南極の昭和基地と同じくらいの気温、と流氷研究の先生はおっしゃっていました・・・。
じっくり楽しむための一番大事な装備・・・現地で研究やお仕事をされている方に教えていただいたとっておきの対策があります。
それは「本格的な防寒ブーツを買うこと」です。
最近、アウトドアブランドの本格的なスノーブーツがタウンユースでも流行っていますよね。
クマのマークがかわいい「ソレル」は、南極にもはいて行けるという、専門家御用達、本格防寒ブーツのブランドです。
中でも、ひざくらいまで隠れる、2重構造のものを私は買いました。
このクラスになると、履いているだけで「発熱」する感覚があります。
私はこのブーツを履くようになってから、冬の外でのアクティビティが大好きになったほどです。
(ほんとは、めちゃくちゃ寒がりなんです!)
もちろん、暖パンや「あったかめのダウン」を着ることも忘れてはいけませんが、足先が暖かいと、寒さがかなり気にならなくなります。
一回しか観光に来ない・・・という場合は、あまりお値段の張るものは買えないかもしれませんが、何度か冬の北海道に来る予定があるなら、購入をおすすめします。
雪まつりや、各地の氷まつりなども、より楽しめるはずです!
くるま旅の皆さん。暴風雪対策は完璧に!
最後になりましたが・・・
私がオホーツク海側、道東の北側の地域に住んでみて驚いたのは、「雪の軽さ」です。
北海道全域が「パウダースノー」だというのは間違いないと思いますが、その中でも特に「雪が細かい」と感じました。
つまり・・・ちょっとした風でも、地吹雪になって、ホワイトアウト状態になってしまうのです!
吹雪について、「北海道民だからそれくらい知っているよ」と侮ってはいけません!
全く危険度のレベルが違います。
何しろ建物も少ないので、吹きさらしの道路も多く、逃げ込める場所もありません。
暴風雪で約10名の方が無くなった、2013年の痛ましい事故も記憶に新しいかと思います。
その年以降、オホーツク海側の地域では、悪天候が予想されると、国道がすぐに閉鎖されることが多くなりました。
観光客の方が観光地に閉じ込められて、帰れない・・・ということも、1冬に何回か、必ず発生します。
キャンピングカー旅の皆さんも、通常より多く食料を準備するなど、万全の対策をしてください。
NHKの「ストップ!暴風雪被害」サイトで勉強してから、出かけましょう!
まとめ
今回は、冬のキャンピングカー・くるま旅で北海道を訪れる皆さんのために!
数年間、オホーツク海側に住んでいたころの知識をフル動員して、書きました。
流氷に関しては、地元に住んでいるとわかるけど、意外に外には伝わっていない情報、が、ものすごく多いと感じていました。
まずは1記事にまとめてみたかったので長くなってしまい、読みづらくてごめんなさい。
今シーズンには間に合わないかもしれませんが、今後は別記事で、グルメ情報や車中泊場所の情報なども、書いていきたいと思います。
ほかにも何か知りたい情報がありましたら、分かる範囲で書いていきますので、お知らせください!
正直、一般的な「観光」のように、おぜん立てされたルートを見るだけでは、本当の流氷の良さには触れられないと感じます。
「流氷旅」が素敵な思い出になって、私のように(!?)流氷が大好き!また見たい!と思えるよう、お祈りしています。